子育てママのslow life

1児の母、会社員、妻、女。仕事・育児・家事・趣味など日々考えていることを綴っていきます。

『幸福の資本論』橘玲 著 まとめ

この本の内容を一言でいうと

『 「幸福な人生」の最適ポートフォリオは、大切な人とのごく小さな愛情空間を核として、貨幣空間の弱いつながりで社会資本を構成することで実現できる。』

これだけ言われても、なんのことか分からないですね。人生で幸福になるための土台には、お金・やりがいのある仕事・家族や友人が必要だということです。しかし、お金だけあっても、やりがいのある仕事だけあっても人は幸せになれません。幸福を生み出すのは家族などの小さいけれど強力な人間関係が70%、広く浅い友人・知人関係が30%ほどを維持することで得ることができます。

 

幸福になるための3つの条件

①自由=お金

 お金がたくさんあれば、安心して暮らせます。会社からリストラされても動じないし、嫌な仕事は辞めるという選択も可能です。「経済的独立」を実現すれば、金銭的な不安から解放され、自由な人生を手に入れることができます。

自己実現=やりがいのある仕事

 「自分探し」という言葉が一時期流行りました。仕事を通して自分という存在価値を確かめたいということでしょうか。この本では、子供のころのキャラ(リーダー役、参謀役、盛り上げ役など)を天職にすることで、「ほんとうの自分」として自己実現できる。と書かれています。

③共同体(絆)=家族・友人

家族などの深い人間関係、友人関係、職場の同僚、スーパーのおじさんなど、じぶんにとって強い繋がりと弱い繋がりがあります。強い繋がりから順番に、愛情空間→友情空間→貨幣空間と呼んでおります。 このうち、愛情空間と友情空間のことをまとめて政治空間と呼んでおり、殺人やいじめなどのあらゆる問題はこの政治空間で起こっています。

 

幸福になるための3つの条件を生み出す源

①金融資産

 金融資産とは、お金・不動産・有価証券などの財産のことです。金融資産を多く所有していると、お金に働いてもらう(投資)ことができます。(現在の超低金利ではほとんどお金は働きませんが、、)また、お金を気にせず子供の習い事や旅行、バッグや靴を買うこともできます。金額を気にせず自由な選択をできることは、一定の幸福を与えてくれます。

 

②人的資本

 働いてお金を稼ぐ力のことです。自らの人的資本を労働市場に投資することで利益を得ることができます。仕事に関しては、効率よくたくさんのお金を稼ぐことと、仕事を通して自己実現(かけがえのない自分)を目指すという2つの異なるアプローチがあります。それを踏まえ、仕事の内容や人生における仕事の位置づけを3つに区分します。

 

仕事の種類

(a)マックジョブ

マクドナルドなどのマニュアル化された仕事や、会社の事務(バックオフィス)のこと。

(b)スペシャリスト

仕事の価値が自給換算できない仕事の中で拡張不可なもの。

医者は高い専門性のある仕事ですが、診れる患者の数には限度があります。また、大人気の舞台俳優も、公演数や観客数には限度があります。これらが拡張不可な仕事です。

(c)クリエータ

仕事の価値が自給換算できない仕事の中で拡張可能なもの。

例えば、ハリウッドの映画は大ヒットすれば映画館で放映されるだけでなく、DVD化して全世界で販売されたり、グッズが販売されたりします。そうなるとハリウッド映画に出演した俳優の給与は青天井になります。ハリーポッターなどの本も同じような種類です。このように成功すると青天井の報酬が支払われる仕事を拡張可能な仕事といいます。

 

仕事を人生の中で「何」とみなすか?

(A)労働とみなす

目標達成(生計を立てるなど)の手段として仕事をとらえている人。仕事に精神的な喜びなどの見返りを求めず、仕事以外の時間を楽しむために仕事をしている。

(B)キャリアとみなす

仕事を、自分を成長させるものと考えている人。仕事と人生を一体化しようとはしないが、仕事からより多くの収入やステータスを得ようという野心を持っている。

(C)天職とみなす

自分の仕事に充実感や社会的意義を見出している人。仕事と人生を切り離して考えず、生涯現役で働くことを当然と考えている。

 

③社会資本

 家族や友達などの人間関係のことです。人間関係は深いものから浅いものまで3つに分類しています。

(a)愛情空間

家族など極めて絆の強い人間関係です2~5人ほどで構成されます。

(b)友情空間

学校の友人、職場の同僚、サークルの仲間など、多くても20~30人くらいの人間関係。

(c)貨幣空間

お金を媒介として世界中の人とつながれるので、無限大に広がります。1枚の服を買ったとして、そのセーターはアフリカで栽培された綿花を使用し、東南アジアで縫製されたかもしれません。

 

(a)と(b)は政治空間とも呼ばれます。人は古代より1人では生きていけないため、この集団に高い価値を置きます。この本でも、『幸福は社会資本からしか生まれない』と書かれております。

 

人生の8つのパターン

①超充(金融資産+人的資本+社会資本)

こちらは、すべての幸福になるための条件を持ち合わせた人です。本書ではほぼ実現は不可能だと言われております。その理由は、金融資産と社会資本が両立することの難しさです。お金持ちになると、そのお金を目当てにした人が集まってきて、本当の良い人間関係が築けにくいということです。

 

リア充(人的資本+社会資本)

SNSで話題のリア充です。やりがいのある仕事をしつつ、友人と旅行へ行ったり、おいしいランチを食べたりと公私とも充実した生活をしている人たちです。 

 

③旦那(金融資産+社会資本)

 

 

④お金持ち(金融資産+人的資本)

 

 

⑤ソロリッチ(人的資本)

仕事を求めて上京してきた若者に多いです。彼らは若いので金融資産はなく、地元に友人(社会資本)も置いてきましたが、仕事におけるポテンシャルは高いです。 

 

⑥退職者(金融資産)

退職により人的資本(労働)と社会資本(同僚)を無くしたが、退職金や年金で金融資産を確保しているような方です。 

 

⑦プア充(社会資本)

 乏しい人的資本と金融資産を、地元のイツメン(いつものメンバー)で補っている人たちです。マイルドヤンキーとも呼ばれる彼らは貧しいですが“貧困”ではありません。

 

⑧貧困(なし)

3つの資本のどれも持っていない人です。1つしか資本を持っていない⑤~⑦の人は、貧困に陥る可能性が高いと言われています。例えば、マイルドヤンキーが地元の仲間から仲間外れにされたり、高齢者がオレオレ詐欺で財産を取られると資本が1つもなくなってしまいます。

 

新しい生き方

①ソロ充

すべての社会資本を政治空間から貨幣空間に置き換えた人たちのことです。人間関係は幸福を生みますが、煩わしい問題も起こします。それらを無くすため、彼女の代わりにデリヘルを呼び、仲間とフットサルをする代わりに1人でフットサルに参加しその場に集まった人と盛り上がります。人間関係を政治空間に構築せずに貨幣空間の中で完結します。

 

②BOBOS(ニューリッチ)

好きなことに人的資本のすべてを投資するフリーエージェント的な働き方をしている人たちです。会社などの組織に従属する必要がなく、人間関係を選択することで自由な人生を楽しんでいます。